お口がポカン・丸のみ・ことばが遅い…そんなお悩みありませんか?

発達特性のある子によく見られる「口腔機能発達不全症」

さっそくですが、お口の問題のチェックリストです。お子さまにあてはまることはありませんか?

  • いつも口があいている
  • 何かに集中したときに口があく
  • よだれが出る
  • 指しゃぶりやおしゃぶり、爪などを嚙むくせがやめられない
  • 食事を噛まずに丸のみ
  • 食べるのが遅い
  • 偏食がある
  • クチャクチャ音をさせて食べる
  • 大人のことばは分かるのにことばが出ない
  • 年齢に比べて話し方が不明瞭

ひと昔前まで、子どもを歯医者さんに連れていくのは検診のときか虫歯になってしまったときくらいでしたが、いまは上のチェックリストのような心配ごとがあるときにも、しっかり相談に乗ってくれる歯医者さんが増えてきています。

発達特性のあるお子さんになぜ多い?

発達特性のあるお子さんの多くに感覚の過敏さや鈍感さがあることは、よく知られるようになりました。お口のまわりを拭こうとするとイヤがる、歯磨きが大の苦手で逃げ回る、特定の味や特定の舌触りのものが食べられないといったお子さんは、お口の中やそのまわりに過敏さがある可能性があります。逆に、指しゃぶりやおしゃぶりがやめられない、いつも爪やタオルを噛んでしまう、よだれが出るといったお子さんは逆にお口の鈍感さがあるかもしれません。

お口まわりの過敏さや鈍感さがあることで、お口を動かす経験が少なくなってしまったり、お口を特定の動かし方でしか動かさなかったりすると、それがお口の周りの筋肉やあごの成長、歯の生えかたにまで影響してしまうことがあります。                   

ことばを話すことは、あご、くちびる、舌などお口のまわりの筋肉の運動です。だから、それ以前に食べることなど生活の中でお口を動かす経験が少なかったり偏ったりしていると、ことばを話すための筋肉の正しい使い方を学ぶことが難しくなります。その結果、大人の話すことばはちゃんと理解しているのに、ことばを発することができなかったり、話し方が不明瞭だったりということになるのです。とくにいま、コロナ禍の中で、まわりの大人がマスクをしていることが多いので、大人が話すときに口をどんなふうに動かすのかを子どもたちが見て学ぶ機会が極端に減っています。そのことが発達特性のあるお子さんのお口の問題を助長してしまっているようにも思われます。こういうときだからこそ、お家でお父さんお母さんが、お子さんの正面から、口元を見せながらゆっくりはっきりお話ししてあげることが大切なのです。

歯医者さんと療育機関の連携が大切

歯医者さんはお口の構造には詳しいけれども、ことばの発達について細かいところはわかりません。逆に療育の専門スタッフはことばの発達には詳しいけれども、お口の構造の問題は不得手です。残念ながら、この両者の連携の仕組みはいまのところまだまったくと言っていいほどできていません。だから、ご家族が橋渡しをして、連携を進めていくことが大切なのです。療育スタッフから言われたことを歯医者さんに伝えて相談し、歯医者さんからのアドバイスを療育スタッフに伝えて療育の中に取り入れてもらうといった形から始めてみるといいかもしれません。

まずはかかりつけの歯医者さんに相談をしてみて、もし万が一、相談に乗ってもらえなかった、もしくは、お近くで相談に乗ってくれる歯医者さんが見つからないという方は、一緒にお探ししますので、お気軽にお問い合わせください。

【この記事を書いた人】

なおき:理学療法士歴25年。こども病院のNICUから重症心身障害児(者)施設まで、さまざまな場所でずっと子どもと関わり、運動発達の視点からサポートを続けてきた。